未収金はどのくらい起きていますか? — 数字で見る実態
外国人患者の未収金は、受け入れを始めた医療機関が最初にぶつかる経営リスクです。厚生労働省の実態調査に関する報道によれば、外国人患者を受け入れた病院のうち15.7%が未収金を経験しており、その平均は3.6件・58.3万円。かつては月500万円を超える未収金を抱えた病院の事例も報じられました。
背景には、受け入れの広がりと体制整備の遅れという構造的なずれがあります。厚生労働省の2026年調査では、外国人患者の受け入れ実績がある医療機関は54.6%に達する一方、受け入れ体制の整備が完了しているのは3.9%にとどまります。未収金は、この「体制が追いついていない期間」に集中して発生する性質の問題です。
なお、この統計の中心は救急・入院を含む病院の数字です。自由診療が中心のクリニックでは1件あたりの金額は小さくなる傾向がありますが、回収手段がほぼないという点は同じです。帰国した患者への請求は、言語・法域・費用対効果のすべてにおいて現実的ではありません。だからこそ、対策の重心は「回収」ではなく「予防」に置くべきです。
未収金はなぜ起きますか? — 発生源は4つ
当社がソウルの担当医院で外国人患者ラインを運用してきた経験では、未収金・支払いトラブルの発生源は次の4つにほぼ集約されます。重要なのは、4つとも「来院後」ではなく「来院前」の工程に根があるという点です。
| 発生源 | 何が起きるか | 予防の急所 |
|---|---|---|
| ① 費用説明の言語ギャップ | 見積・同意が患者の母国語で行われず、金額の認識がずれたまま診療が進む | 来院前に母国語で概算見積を提示し、合意を記録する |
| ② 決済手段の不一致 | 海外カード・モバイル決済が使えず、その場で支払えない | 対応決済手段を予約前に案内し、不足があれば導入する |
| ③ 当日飛び込み | 支払条件の確認前に診療が発生する | 「相談→見積→予約」の母国語動線を用意し、飛び込み自体を減らす |
| ④ 帰国後の回収困難 | 請求・督促の実務手段がほぼない | そもそも後払いを作らない — 事前決済・当日決済で完結させる |
コスト構造の面でも、負担は医療機関側に偏っています。厚生労働省の実態調査では、通訳費用を患者に請求している病院は2%にとどまり、大半の医療機関が言語対応のコストを自ら吸収しています。未収金と通訳負担は別々の問題に見えて、実は「来院前の多言語応対が存在しない」という同じ欠落から生まれています。
予防の実務 — 事前決済と応対ハンドオフをどう設計しますか?
当社の未収金予防は、集患から精算までの流れの中に組み込まれています。独立した「未収金対策サービス」を別料金で売るのではなく、応対の設計そのものを予防装置にする考え方です。
- 第1段階 — 母国語での相談・概算見積 患者がWhatsApp・LINE・WeChatなどで問い合わせた時点で、施術内容・概算費用・支払方法を母国語で案内します。金額の認識合わせを、来院のずっと手前で終わらせます。
- 第2段階 — 事前決済・デポジットの案内 予約確定時に、貴院の方針に合わせてデポジット(内金)または事前決済をご案内します。決済は貴院指定の手段(決済リンク・海外カード・院内決済)で完結させ、当社が患者の資金を預かることはありません。キャンセル・返金規定も同時に母国語で明示します。
- 第3段階 — 応対ハンドオフ 支払条件に合意した患者だけを、来院情報・合意内容とともに貴院へ引き継ぎます。院内スタッフが外国語で金額交渉をする場面を、構造的になくします。
- 第4段階 — 来院・決済の確認 当日の決済完了をハンドオフ記録と突き合わせ、未決済・差額があれば当社の応対チャネルから母国語でフォローします。
- 第5段階 — CRM基準の精算 月次で貴院CRMの実決済額を確認し、翌月5日までに精算します。未収金・返金は実決済額に含まれないため、当社報酬の対象外です。
| 項目 | 当社が代行すること | 貴院にお願いすること |
|---|---|---|
| 見積・費用説明 | 母国語での概算見積提示・記録 | 施術別料金表の提供(多言語化は当社) |
| 事前決済・デポジット | 運用設計・患者への案内・合意取得 | 決済手段の指定(不足時は導入の選択肢をご提案) |
| キャンセル規定 | 母国語での明示・同意確認 | 規定内容の確認・承認 |
| 精算 | CRM実決済額基準の請求書発行(インボイス対応) | 月次CRM売上1枚の送付 |
救急・保険診療の未収金は、この記事の範囲外です。当社の本業は自由診療の集患・応対であり、救急受け入れに伴う未収金には厚生労働省の医療機関向けマニュアルや、医療渡航支援企業・身元保証機関の制度が参考になります。受け入れ体制の全体像は受け入れ体制整備の解説ページで扱っています。
未収金と成果報酬の関係 — なぜ当社にも防ぐ動機がありますか?
当社の費用は、貴院が委託した患者ラインの売上に対する成果報酬20%のみです。ここでいう売上は、貴院CRM基準の実決済額 — つまり実際に支払いが完了した金額だけを指します。未収金は実決済額に含まれないため、当社の報酬の対象になりません。
この設計は偶然ではありません。患者を連れてくることだけに報酬が発生する構造では、支払能力の確認が甘い集客が混ざります。実決済額に連動する構造では、未収金が出るほど当社の報酬も減るため、「支払いまで完了する患者」を集めることが当社自身の利益になります。未収金の予防を、貴院への注意喚起ではなく、当社の業務設計に組み込んでいる理由です。
料率20%は、日本の成果報酬型支援の相場10〜30%の中央値にあたります。初期費用0円・月額固定費0円で、非独占・中途解約自由・違約金なし。返金が発生した場合は該当分の報酬も返還します。料金構造の全体は料金ページで開示しています。
なお、当社はこの構造をソウルの皮膚科2院の外国人患者ラインで実際に運用しており、担当外国人売上は+200%・+186%と実測されています(当社CRM集計・病院名は守秘義務により匿名。診療科・地域・競合状況により、結果には差があります)。実測の詳細は集客代行の解説ページと多言語検索資産の開示ページをご覧ください。